教授紹介

小林 光

Hikaru Kobayashi

大阪大学 産業科学研究所 名誉教授/招へい教授
(2022.4.1~2024.3.31 : シリコン製剤創製・物性学寄附研究部門 寄付研究部門教授)


昭和59年3月
京都大学 大学院理学研究科博士後期課程修了、理学博士取得

昭和59年4月 
米国ペンシルバニア大学 物理学科 博士研究員

昭和61年4月 
松下電子工業京都研究所 研究員

昭和62年1月 
大阪大学 基礎工学部 助手

平成 2年 7月 
大阪大学 基礎工学部 助教授

平成10年7月 
大阪大学 産業科学研究所 教授 
                        
令和 3年4月 
大阪大学  名誉教授
大阪大学 産業科学研究所 特任教授 

令和 4年4月 
大阪大学  産業科学研究所
シリコン製剤創製・寄附研究部門 寄付研究部門教授

令和 6年4月 
大阪大学  産業科学研究所
新産業創成研究分野 新産業創造システム研究分野 招へい教授(小林グループ)

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メッセージ

 当研究グループは、我々が開発したシリコン製剤の創製と物性に関する基礎研究、さらにシリコン製剤を種々の用途に社会実装するために必要な応用・実用化研究を行っています。シリコン製剤は、産業科学研究所の旧小林研究室において、開発されました。

 旧小林研究室では、最も代表的な半導体であるシリコンの表面・界面に関する基礎研究と、シリコンを用いる太陽電池、LSI、薄膜トランジスターの材料・プロセスに関する研究を行ってきました。そのような研究を進める中、シリコン粉末に好的な表面処理を施すことによって、中性領域の水と反応して、多量の水素が持続的に発生することを当研究グループの小林悠輝特任准教授と共に見出し、シリコン製剤と名付けました。シリコン製剤を摂取すれば腸内で持続的に水素が発生して、体内で常時産生する活性酸素、特に最も高い酸化力を有する悪玉活性酸素のヒドロキシルラジカルと反応して、これを消滅できると発想しました。そこで、大阪大学大学院医学系研究科の先生方と共同研究を行わせていただき、動物実験から本当に多くの疾患に対して予防・治療効果があることが見出されました。

 最初は、医学系研究科泌尿器科学講座の今村亮一准教授(現:長崎大学医学部教授)が、動物実験から慢性腎不全に対して効果があることを見出され、まさかシリコン製剤に大きな効果があるとは予想していませんでしたので、天地がひっくり返る気持ちでした。その後すぐに、医学系研究科神経細胞学講座の島田昌一教授がパーキンソン病、潰瘍性大腸炎、アルコール性肝疾患に対して、動物実験から高い効果を見出され、もう一度天地がひっくり返る気持ちを味わうことになりました。その後、国内だけで1000万人クラスの患者がおられる糖尿病、アトピー性皮膚炎にも高い効果があり、さらに根本的な治療法がない難治性疾患であるパーキンソン病や潰瘍性大腸炎にも効果があることが動物実験から見出されました。また、老化は細胞の酸化が大きな原因になっているため、老化の抑制ができる可能性も見出されてきました。さらに、男性不妊症と女性不妊症が防止できる可能性も見出されつつあります。

 通常の医薬品では、経口摂取すればそれが体内に吸収され、薬用効果とともに副作用が生じます。一方、シリコン製剤は摂取しても、腸内で発生した水素のみが吸収され、シリコン製剤自体は吸収されません。したがって、薬用効果はあるが、副作用がないという大きなメリットが期待できます。げっ歯類を用いる安全性試験や遺伝毒性試験でも全く問題は発生せず、その結果食品としての製造販売が可能となり、現在、人用及びペット用のサプリメント・食品として販売されるに至っています。さらに、国内外の多くの製薬メーカーに興味を持っていただき、医薬品の実現に向けての研究が進展しています。シリコン製剤の医薬品が実現すれば、世界で最初の半導体医薬品になります。